毎四半期恒例、機関投資家のポジションを開示するForm 13Fの時期だが、先ずは著名ヘッジファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏が米国株の下落に賭けるポジションを倍増させていることから報じてゆきたい。
昨年から続くソロス氏の空売り
ソロス氏はもう長らく米国株の下落に賭けている。リベラルの政治活動家でもあるソロス氏はトランプ氏を心底嫌っており、それを投資判断にまで持ち込んだ結果、トランプ大統領誕生直後の米国株上げ相場を空売りして踏み上げられた話は記憶にまだ新しい。
しかしソロス氏はその後も米国株空売りを続けているようであり、前回のForm 13Fでもその様子を伝えている。
そして今回なのだが、ソロス氏は米国株の下落に賭けるポジションを更に倍増させた。
前回の開示では、ソロス氏は米国の株価指数S&P 500とRussell 2000のプットオプション(下落に賭けるポジション)を買っていたが、今回はそれに加えてNASDAQ 100のプットオプションが大量に追加されている。
Russell 2000は米国の小型株指数であり、NASDAQ 100はNASDAQに上場する非金融大型株の指数である。今年大きく上昇したテクノロジー銘柄の下げを見込んでいるのだろう。前回からのポジションの変化は以下のようになっている。
- S&P 500: 3億ドル -> 4.2億ドル
- Russell 2000: 4.6億ドル -> 3.6億ドル
- NASDAQ 100: 0ドル -> 10億ドル
合計でほぼ倍となっている。それぞれのチャートは以下のように推移している。先ずS&P 500は以下の通り。
Russell 2000は以下。
NASDAQ 100は以下。
Russell 2000のポジションが減少しているのは、以前よりあまり上昇していない小型株指数よりも好調なS&P 500に空売り対象を乗り換えたのだろう。
結論
ソロス氏は長らく米国株の空売りを主張してきた。そしてこれまでは、そのポジションは損失を出し続けてきたと言える。しかし今回は、トランプ相場を正しく予想し続けてきた債券投資家のガントラック氏も同調している。
ソロス氏とは違い、ガントラック氏の空売り開始は7月末であり、そのタイミングは天才的である。ソロス氏の空売りはようやく報われることになるのだろうか?
いずれにせよ米国株が荒れ模様である。下落が本格化した場合何処まで下げるのかについては、わたしやレイ・ダリオ氏の意見を参考にしてもらいたい。