トランプ相場の金利急騰、そしてその後の金利低迷の両方を見事に予想したガントラック氏が、米国株の下落に賭け始めたのは報じた通りである。
それに引き続き、CNBCのインタビュー(原文英語、その一、その二)で、米国株が下落する理由や下落幅についても語っているので、そちらも取り上げておきたい。
ガントラック氏の米国株下落予想
報じてきた通り、ガントラック氏は米国株の下落とボラティリティ(値動きの激しさ)の上昇を予想している。現状では、米国株は市場最高値付近を維持したままである。
しかし下落し続けていたボラティリティの方は、ガントラック氏が予想を表明した後に短期的にやや上昇した。
好調を続ける米国株に調整は訪れるのだろうか? ちなみにファンダメンタルズで見れば米国株は割高ではない。以下の記事で数字を挙げて説明した通りである。
米国株は何故下落するのか?
では、ガントラック氏は何故米国株が下落すると予想しているのか? ガントラック氏はその理由について以下のように説明している。取り上げられているのは、銅価格を金価格で割った比率が最近上昇していることである。
銅価格/金価格比率の上昇は、インフレをもたらす何かが世界経済で進行中だということを示唆している可能性が高い。それはつまり、金利が上方向に突き抜けることを示唆している。そして金利上昇は株式市場のボラティリティを跳ね上げる材料となる。
建設など工業で使われる銅は世界経済の景気を占うと言われており、一方で安全資産として用いられる金の価格には景気後退が追い風となる。したがって金よりも銅の需要が高まっている最近の状況は、世界経済のインフレを示唆しているとガントラック氏は主張しているのである。
しかし、ガントラック氏は株式市場の暴落を予想しているわけではないようである。下落幅に関しては以下のように語っている。
政治方面での対立など何か想定外の材料でも出ない限りは、大幅な下落にはならないだろう。
それは何故か? ガントラック氏は明確な理由を挙げていないが、下落しても暴落にはならないだろうというのは、わたしや世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏の現在の相場観と一致する。わたしも彼も理由を挙げて説明しているので、興味のある読者はそちらを参考にしてほしい。
また、ガントラック氏はインタビューにおいて投資家への助言をコメントしている。ガントラック氏はリスクオフに寄るべきだと主張しているのである。
徐々に出口に向かい始めるべきだと思う。もし何か具体的な材料が出てから売ろうと考えているのであれば、結局は安値で売ることになってしまうだろう。