[個別銘柄] Gecina (EURONEXT:GFC): パリのREIT、量的緩和

Gecina (EURONEXT:GFC)

Google Finance – Gecina SA: EPA:GFC quotes & news

概要

GecinaはフランスのREIT(不動産投資信託)である。ポートフォリオの80%以上がパリ市内およびその近郊に位置する。半分以上はオフィス物件であるが、住宅やヘルスケア物件も取り扱う。

指標

一株当たり純資産: €102.2

想定数値

想定高値: €122.6 (P/B 1.2)

想定底値: €81.8 (P/B 0.8)

現状

ユーロ圏のインフレ率がECB(欧州中央銀行)の想定する2%を下回り、1%以下の数字で推移するなか、ECBは量的緩和や利下げなどの金融緩和を行うことを視野に入れている。ユーロ圏PPI(生産者物価指数)は既にマイナスで推移しており、ドイツでは実質賃金が低下している。インフレ率の低下の原因はマネタリーベースの減少によるユーロ高と、伸び悩む名目賃金が想定される。南欧諸国の失業率はいまだに高く、また南欧の失業者がドイツやフランスに仕事を求めるため、供給増によりユーロ圏を牽引する国の労働市場を抑圧している。ECBのドラギ総裁は、必要であれば動く準備があるが、まだその時期ではないとの見解を維持している。

想定シナリオ

ユーロ高と労働市場改善の両方に有効な手段は量的緩和であり、また労働市場に関わるインフレ率の低下は構造的低インフレであるので、ECBが動かない場合インフレ率は低下し続けると想定される。口先介入のみでユーロ債務危機を救ったドラギ総裁が実際に金融緩和に踏み切るまでには時間がかかると思われるが、インフレ率の継続的な低下を受け、今年の後半から来年の前半までに、ECBは金融緩和に踏み切る可能性が高い。金融緩和でもっとも恩恵を受ける資産クラスが不動産であり、またそのような状況下においては不動産は大都市のものから価格が上昇する傾向がある。本銘柄の株価はインフレ率の低下を受けて徐々に上昇し、金融緩和の決定とともに想定高値付近に達すると想定される。

リスクシナリオ

  • ECBが必要な規模の金融緩和に踏み切れず、労働市場の低迷長期化が不動産価格の低下にまで影響を及ぼす場合。
  • アメリカ経済やイギリス経済の回復によりユーロ安となり、輸入物価の上昇がインフレ率を押し上げ、ECBが金融緩和を行わない場合。