ワコム (TYO:6727): 決算予想と投資戦略

7月30日のワコム (TYO:6727)の決算発表を控え、業績などのデータを再度確認する。結論から言えば、今回の決算は時期的な理由により芳しくない可能性が高い。理由は欧州のユーロ安と日本の消費増税前の駆け込み需要の反動減である。

先ず、長らくフォローしてきた空売り残高であるが、今月に入ってからUBSとゴールドマンが空売りを徐々に増やしてきており、16日時点で発行済株式総数に対してゴールドマンが5.02%、UBSが0.65%、ドイツ銀行は16日にわずかに買い戻し1.49%で、合計で7.16%の空売り残高が報告されている。UBSとゴールドマンの売り増しは、今回の決算に合わせて売りを仕込む動きだと考えられる。

決算だが、まずは地域別の売上高を確認したい。世界シェア80%を誇るワコムの売上は各地域に分散しており、地域別売上高は以下の通りである。

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これはつまり、売上高のうち66.7%が、4-6月においてワコムに不利な状況下であった欧州と日本からのものだということである。ECB(欧州中央銀行)の緩和示唆からユーロは下落を続けており、日本では増税後の反動減で、その後回復を見せているものの、少なくとも4-5月においてはデパートなど小売の苦戦が伝えられている。したがって今回の決算への悪影響は避けられないだろう。しかし、少なくとも日本での売上減は短期的なものであり、ユーロ安も2年前に比べれば大分改善したのである。

買い方にとって重要なのは、決算後に株価が下落した場合に、その後売り方がどう動くかである。今回の決算は、売り方にとって好条件が重なった今年一番の好機であり、したがって今回を逃せばこれ以上の買戻しのタイミングは巡ってはこないことになる。

上記に並べた機関投資家の空売り残高のうち、どれだけが買い戻されるかは分からないが、少なくとも一定数は株価下落後に利益確定の買い戻しが入ると見るべきだろう。買い戻されない分についても、売り方にとっての最大の好機は去り、買い方にとっては、あとはタブレット型コンピュータの普及拡大に伴う売上高の伸びが確認されるのを待つだけである。ワコムの売上高は四半期ごとに着実に成長しており、そのため売り方にとっては長く保有すれば保有するほど不利なのである。

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決算後に下落した場合、どのタイミングで買い増しを入れるかはトレーダーの腕が問われる部分である。少なくとも売り方の買戻しより早く買いを入れる必要があるが、充分に安くない値段で買いを入れることも避けなければならない。出来高などを確認しながら臨機応変に対応することが望ましいと言えるだろう。