米国のWTI原油価格が遂に30ドルを割った。これまで報じてきた通り、原油価格は米国のシェール革命による供給過剰で暴落しているが、原油が永遠に下がり続けるということはないので、この原油安が何処で反発するかということが投資家にとって問題となる。
原油価格については昨年末に2016年の価格推移の予想を出したが、これまでのところその記事に書いたシナリオ通りに進んでいると言える。その当時原油価格は36ドルを超えていたが、その記事にはこう書いてある。
個人的には原油は30ドルを割って下値を試すのではないかと思っている。そうなれば、今はまだ余裕のあるシェール関連企業も寿命が縮まってゆく。恐らくはそのようにして淘汰が進み、その後にようやく原油価格は反発に向かうのだろう。
また、原油価格の底値についてはこう書いた。
シェール関連企業の決算を虱潰しに調べた感触では、主な企業は原油が30ドル台でもコストを削減して産出を続けており、したがって20ドル前後まで下がらなければ、主なシェール企業の操業停止点には到達しないのではないかと感じている。
これらの予想が現実になりつつあるということである。
原油安がそこまで進めば、エネルギー関連銘柄で買いを入れ始められるものがある。個人的なお気に入りはウラン先物である。あるいはウラン採掘企業でも良いだろう。原油が底値に達した時に買うべきものについてはまた詳しく書こうと思っている。
原油はいずれ反発するが、しかし原油の上値はやはり50ドルか60ドルを頭に抑えられるとは思う。シェール革命とは通常の掘削では掘れない部分に埋まっている原油を掘り起こす技術の革命であり、この技術革新によって掘り起こすことのできる原油の総量が格段に増えたことには変わりないからである。この技術を米国のみならず他の国々も使うようになれば、原油の供給は長期的には更に増加する可能性もある。
ただ、やはり目先の関心は原油安の反発である。そして底値を予言するシェールオイル生産企業の2015年第4四半期の決算の日が近づいている。シェールオイル企業が破綻に追い込まれて初めて供給が減少し、そして原油安は反発するのだから、いつ反発するかを予測するためにはそれら企業の売上高やバランスシートを当然見なければならない。
シェールオイル関連企業の決算は2月の後半あたりに集中しているようなので、発表後には産出量や負債を分析する記事を出したいと考えている。エネルギー関連銘柄のバーゲンセールが近づいている。株も債券も通貨も利益が出ない2016年において、コモディティ市場は利益の見込める数少ない市場なのである。