第一回目の速報で述べたように、Fed(連邦準備制度)は米国時間9月17日、FOMC会合で利上げをせず、政策金利を維持することを決定した。
会合の結果が発表された後、議長のイエレン氏の記者会見が行われており、今回の記事ではその内容の重要な部分を抜粋して紹介する。以下の通りである。
- 今回の会合が非常な注目を集めていたことは認識していた。われわれは利上げの可能性を議論したが、海外経済の不確実性や低いインフレなどを考慮し、労働市場やインフレ率が改善しているという更なる証拠を待つことにした。
- ただ、最近の懸念要素を過大に評価するつもりはなく、経済は改善しており、これからもそうあり続けるというわれわれの見方は変わっていない。
また、今後の利上げについては以下のように述べている。
- 一回目の利上げの具体的なタイミングをいつにするかという問題は、今後金利がどうなってゆくのかという道筋全体に比べて、非常に些細な問題である。
- 一度ゼロ金利政策が解かれた後は、その後の経済の状況によって、政策金利をただ段階的に上げてゆくのが適切な状況となると予想している。
- 6月に示された想定に比べ、多くの会合参加者が今後の利上げ予想を引き下げた。
- 多数の会合参加者が引き続き年内の利上げが適切との見方を示したが、一方で4人の参加者は利上げに適切な状況は来年かそれ以降まで見られないだろうと予想した。
また、前回の速報で報じた通り、リッチモンド連銀総裁のラッカー氏は利上げに票を投じている。これは最近のFOMC会合で初めてのことである。
これらの結果を受けて、ドルは下落しているが、米国の株式市場も下落しており、市場の受け止め方はまちまちである。ドル円の今後については以前の記事を参考にしてほしい。
また、米国の利上げについては以下の記事を書いている。
- 米国利上げ後の投資戦略: 株価がいずれ暴落する理由と為替、債券、金がどうなるか
- 米国が利上げを急ぐ理由: バブル崩壊後の相場に向けた利上げ競争はもう始まっている
- 米国利上げに関する著名ファンドマネージャーたちの見解
- 世界同時株安で中銀はどうするか?: 金融政策をめぐる状況がブラックマンデーの原因に似てきた理由
イエレン議長の言う通り、一回目の利上げの時期に関心を払い過ぎずに、長期的な経済と金融政策の方向を見極めて投資を続けることが重要である。