さて、いよいよ利上げの可能性のある初めてのFOMCが行われようとしている。Fed(連邦準備制度)は米国時間9月16日と17日に政策決定会合であるFOMCを開催し、その結果を17日に発表することになる。
Fedの利上げについては長らく記事にしてきたが、9月の利上げの可能性について再び纏めておこう。個人的には可能性の高いシナリオは2つあり、可能性は五分五分であると考えている。2つのシナリオとは以下の通りである。
- Fedはこの会合で利上げを行うが、何らかのハト派的なコメントを添えることで市場を安心させようと努力する。
- Fedはこの会合で利上げを行わないが、近日中に利上げを行うことを明言し、市場に心の準備をさせておく。
いずれにしても年内の利上げをより明確にする内容になると予想している。
利上げを行う場合
今回の会合で利上げを行う場合、Fedは文面に非常に気を配ることになるだろう。株式市場は依然として8月の世界同時株安から回復しておらず、利上げが更なる下落を引き起こす可能性が懸念される。
先ず必要なのは次回の利上げを急がないことをはっきりと記すこと、そしてFedがより慎重に動く場合、金融市場が不安定になれば金融緩和への逆戻りも含め、両方向に動きうることを示唆するかもしれない。実際にそうなるかどうかは別として、書くだけで金融市場がある程度安定するならば、検討の価値ある選択肢である。
利上げを行わない場合
逆に、今回の会合で利上げを行わない場合、恐らくFedは今回の会合を準備期間として使うのではないかと思う。その次か、遅くとも年内の会合で利上げを行う可能性が非常に高いことを示唆する内容を入れ、金融市場の反応を見るということである。市場が荒れるようならば利上げを撤回することも出来、Fedとしては非常に自由度の高い選択肢となる。
選択肢だけを考えればこちらの方がFedにとっては魅力的だが、9月の利上げをサポートする要因には、9月のFOMCには記者会見があるということがある。10月のFOMCには記者会見がなく、利上げを説明することができなくなってしまう。双方考慮して2つのシナリオの実現可能性は五分五分としておきたい。
年内利上げは既定路線
いずれの場合も、年内利上げは既定路線であると予想している。経済も非常に強いわけではなく、インフレ率も上がっていないにもかかわらず、Fedが利上げに積極的であるという根拠は以前の記事に書いた通りである。Fedは経済指標を言い訳には使うが、本当はそれらを一番重要だとは思っておらず、別のものをずっと気にかけているのである。
ハト派に動いた場合は?
さて、これまでの記事においても、Fedがハト派に動く場合についてはほとんど触れていなかったが、可能性がゼロではないリスクとして今回の記事では触れておこうと思う。
Fedが利上げを延期または撤回する場合、米国株は上昇しドルは下落することになるだろう。しかし、その場合、Fedがハト派に動かなければならなかった理由を思い出してほしい。Fedが考慮しなければならなかったのは金融市場の不安定化であり、利上げ撤回によって株式市場が上昇するのであれば、その事実自体によって利上げ撤回の理由がなくなってしまう。つまり利上げの路線は変わらないということである。
その時ドル円も同時に下がるだろうが、その時は買い場であるということである。ドル円をどうトレードすべきかについては、ドル円が一時116円まで下がった時の記事を参考にしてほしい。
結論
金融市場はついに最も難しい局面に到達しようとしている。ここから先は、中央銀行、政治家、投資家の心理の読み合いである。その中でとりわけ各国中央銀行間のやりとりと、それに対する投資家の反応が重要となる。ここを読み外せばどのような優れた投資家も損失を免れない局面となるだろう。この点については以下の記事を参考にしてほしい。
2008年以降の買えば誰でも儲かる相場と比べれば、ここから先はより大きな頭脳労働に対してより小さなリターンの相場となると予想している。しかし、すべてのバブルが崩壊する瞬間を上手くつかむことができれば、最後の最後には近年で最も大きな利益を得ることになるだろう。そのために最大限の努力をしたいと思う。