ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?

ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。

ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。

世界的にバブル崩壊の予兆

円高となったことで日経平均も急落している。世界的に見れば日本株はこれまで非常に好調だったこともあり、調整があったとしてもおかしくない局面であった。

日本の市場だけ見ていれば気付きにくいが、世界の金融市場には嫌な兆候がある。第一の変調は、ドイツ国債下落に始まる世界的な金利上昇である。これが終わりの始まりであることは既に書いたが、それでも量的緩和バブルが終わるのは、恐らくまだまだ先である。

次に気になるのは、ドイツの不動産会社Deutsche Woehen (XETRA:DWNI、Google Finance)など、今年の前半までもっとも好調であったユーロ圏の量的緩和銘柄の軟調である。

これらの発端はユーロ圏の失業率やインフレ率が想像以上に改善していることであり、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和を予定通り2016年9月で終了してしまうことを投資家が懸念しているのである。

上海総合指数は20%急落

更 にこの状況に追い打ちをかけるのが、上海市場の急落である。上海総合指数は6月半ばの天井から20%以上下落している。1年かからず倍になった反動という こともできるが、個人的には世界的な金利上昇を嫌気したものと考えている。ドル建てで資金調達し中国で運用する理財商品などは、ドルの金利が上がればデ フォルトの危機が高まるのである。

量的緩和相場の終わり

すべての始まりは、長らく続いた量的緩和相場の終わりが意識されたことにある。ECBの緩和終了懸念に加えて、日銀も来年に出口戦略を考えている。しかしながら、ここまで悲観的な見方を書いたが、個人的には量的緩和バブルの崩壊は恐らくまだ先なのではないかと思っている。

第一に、ユーロ圏はともかく、日銀の量的緩和は単純に来年で終えることはできない。以下の記事に書いた通りである。

更に、米国の利上げは最小限のものとなり、そのペースも緩やかなものとなる。一度の利上げでは、バブルのすべては崩壊しないだろう。そしてそれまでは、調整を経ながら相場は上がり続ける。

し かしながら、2015年以降の相場では、上海市場のような10%や20%の急落は、世界中どこの市場でも覚悟しておくべきである。その程度の調整は、一番 最後に起こる暴落に比べれば誤差に過ぎない。投資家は市場が本質的に何を織り込んでいないのか、しっかり把握しておかなければならないのである。

何度も言うように、ここから先は株式(特に米国株)の単純な買い持ちは推奨できない。売りを混ぜるべきである。米国株に比べれば日本株は望みがあるが(そしてそれは日本の経済成長に望みがないためだが)、それでも急な値動きは避けられないだろう。